中小企業を対象とした「所得拡大促進税制」ですが、適用期限が令和5年3月31日まで延長されたのと同時に、
適用要件が緩和されました。今回は、この改正点を中心にご説明致します。
1.所得拡大促進税制とは?
所得拡大促進税制とは、一定の要件を満たす中小企業者等が、雇用している社員に支給する給与を一定額増やした場合に、
増やした給与の一部を法人税(個人は所得税)から控除できる制度です。
2.改正で見直された要件
1)改正前の適用要件
①雇用者給与等支給額が前期を上回ること
②継続雇用者給与等支給額が前期比1.5%以上増加すること
※雇用者給与等支給額…国内雇用者に支払った給与等の総額(役員報酬等は除く)
※継続雇用者給与等支給額…継続雇用者に支払った給与等の総額
継続雇用者の要件は以下の通りです。
①前事業年度及び適用年度の全ての月分の給与等の支給を受けた国内雇用者である
②前事業年度及び適用年度の全ての期間において雇用保険の一般被保険者である
③前事業年度及び適用年度の全て又は一部の期間において高齢者雇用安定法に定める継続雇用制度の対象となってない
→非常に簡単に言えば、前期と今期の24ヶ月間すべての月で在籍していた従業員です。
2)改正後の適用要件
雇用者給与等支給額が前期比1.5%以上増加すること
→今回の改正で、「継続雇用者」という要件が無くなりました。これにより、中途採用等で給与支給額が増加している
法人で、所得拡大促進税制が格段に受けやすくなりました。
3.税額控除額は?
税額控除額…下記のうち、いずれか少ない金額
①雇用者給与等支給額の前期からの増加額✕15%
②法人税額✕20%
4.税額控除の上乗せ要件とは?
一定の要件を満たした法人については、上記3①の税額控除額について、15%→25%へ10%上乗せされます。
この要件のうち、給与等の増加額の判定基準について「継続雇用者の給与支給額が2.5%以上増加」から、
「雇用者給与等支給額の2.5%以上増加」に判定基準が緩和されてます。
5.改正後の制度の適用事業年度は?
今回の改正は、令和3年4月1日以後開始事業年度に適用されます。従って、令和4年3月決算法人から適用となります。