新型コロナによる申告期限の個別延長の取り扱いの変更

今までは新型コロナを理由とする申告期限・納付の延長を申請する場合には『新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請』を申告書等の余白に記載するだけの簡易な方法により延長が可能でした。

しかし、令和3年4月6日に国税庁は新型コロナFAQを更新し、簡易な方法による期限延長の取り扱いを改め、個別の期限延長には申請書の提出が必要になりました。

1.延長の手続き

(1)個別延長の申請書の提出

申請に当たっては、納税地を管轄する税務署長に対し、災害その他やむを得ない理由がやんだ日後、2カ月以内に『災害による申告、納付等の期限延長申請書』を提出することで、税務署長が指定した日(災害その他やむを得ない理由がやんだ日から2カ月以内)まで期限が延長されます。

なお、申告書等と同時に申請書を提出した場合には、その提出日が申告・納付期限となります。

(2)個別延長の対象となるもの

所得税、贈与税、相続税、法人税、消費税、源泉所得税などの申告だけに限らず、申請・届出なども対象となっています。

税目ごとに対象となるものが異なりますので、詳しくは国税庁HPにてご確認下さい。

 

2.やむを得ない理由とは

新型コロナに関しては、次のような理由により、申告書や決算書類などの国税の申告・納付の手続きに必要な書類等の作成が遅れ、その期限までに申告・納付等を行うことが困難な場合には期限の延長が認められることになります。

(1)税務代理等を行う税理士(事務所の職員を含みます。)が感染症に感染したこと

(2)次のような事情により、企業や個人事業者、税理士事務所などにおいて通常の業務体制が維持できない状況が生じたこと

 ①経理担当部署の社員が、感染症に感染した、又は感染症の患者に濃厚接触した事実がある場合など、当該部署を相当の期間、閉鎖しなければならなくなったこと

 ②学校の臨時休業の影響や、感染拡大防止のため企業が休暇取得の勧奨を行ったことで、経理担当部署の社員の多くが休暇を取得していること

 ③新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、生活の維持に必要な場合を除きみだりに自宅等から外出しないことが求められ、在宅勤務の体制も整備されていない等の理由から、経理担当部署の社員の多くが業務に従事できないこと

(3)個人である納税者が、次の事情により保健所・医療機関・自治体等から外出自粛の要請を受けたこと。

 ①感染症の患者に濃厚接触した疑いがある

 ②発熱の症状があるなど、感染症に感染した疑いがある

 ③基礎疾患があるなど、感染症に感染すると重症化するおそれがある。

(4)法人が感染症の拡大防止のため多数の株主を招集させないよう定時株主総会の開催時期を遅らせるといった緊急措置を講じたこと

 

上記以外にも個別の申請により認められる場合がありますので、ご不明な点はご相談下さい。