4月からの新年度が始まり1ヶ月が経過しました。4月より食品や宅配便の値上げなども行われ、更に様々な制度が
改正されています。そこで、今回は企業経営に直接影響する改正点についてご説明いたします。
1.建設業、運送業、医師の時間外労働の上限規制
これはニュースなどで頻繁に取り上げられているいわゆる「2024年問題」です。
具体的に下記3業種でも、これまで適用が猶予されてきた時間外労働の上限規制が始まります。
運送業…時間外労働の上限は原則月45時間、年360時間、特別な事情がある場合は年960時間
建設業…時間外労働の上限は原則月45時間、年360時間、特別な事情がある場合は年720時間
医 師…休日労働も含めて、上限は年960時間、地域の医療提供体制を確保するために、やむを得ず上限を超える
場合は年1860時間
2.労働条件明示のルール変更
労働者を雇い入れる際に交付する労働条件通知書に以下の事項の記載が義務付けられます。
・就業場所および従事すべき業務の変更の範囲(全ての労働契約の締結時と有期労働契約更新時)
・更新上限の有無および内容(有期労働契約の締結時と更新時)
・無期転換申込権が発生する更新のタイミングごとに、無期転換を申し込むことができる旨
・無期転換申込権が発生する更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件
3.不動産登記の義務化
所有者が分からないまま放置されている土地問題の解決の為に、土地や建物を相続する際の登記が義務化されます。
具体的には、相続(遺言も含みます)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に
相続登記の申請を行う必要があり、正当な理由なく登記を怠った場合は10万円以下の過料を科されます。
なお、令和6年4月1日より以前に相続が開始している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります
ので、注意が必要です。
4.障害者の雇用率の引き上げ
従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める障害者の割合を法定雇用率以上にする義務がありますが、今月
より対象となる企業の拡大及び雇用率の引き上げが以下のとおり行われています。
・対象となる企業 従業員43.5人以上→40人以上に拡大
・障害者雇用率の割合 2.3%以上→2.5%以上