実務上で間違いやすい事例シリーズ、第7回目となる今回のテーマは印紙税です。出題は5題、全て○×問題です。
<問題>
第1問:売上代金の領収書に53,900円(10%税込)と記載したので、税抜価格は49,000円と計算できる事から、
記載金額5万円未満として収入印紙を貼付しなかった。
第2問:A社建設業者です。発注者からA社に「注文書」が届きました。A社は、注文を受ける書面「注文請書」を発行
しましたが、 注文請書には、金額は注文書どおりとして金額を記載しなかったので、印紙を貼付しなかった。
第3問:建設工事の工事請負契約書の内訳に、工事代金の他に設計代金の記載があるが、設計代金を含めた総額に対して、
工事請負契約書の軽減措置を適用した金額の印紙を貼付した。
第4問:契約書を作成すると印紙税が掛かる事から、「覚書」として書類を作成し、印紙の貼付を行わなかった。
第5問:収入印紙代を節約する為に、金券ショップで収入印紙を購入した。会計処理を行う際に、郵便局での購入でない
事から、消費税を課税仕入として処理した。
<解答>
第1問:✕
印紙税の記載金額は、消費税額が区分記載されているとき、又は税込価格及び税抜価格が記載されている事により
消費税額が明らかとなる場合は、記載金額に消費税額を含めないこととされています。設問の場合、10%税込と記載
しただけでは、消費税額が必ずしも明らかであるとはいえず、53,900円に対して印紙税がかかることになります。
従って、200円の印紙の貼付が必要です。
第2問:✕
注文請書は、建設工事の請負契約が成立したことを証する目的で作成されるものである事から「請負に関する契約書
(2号文書)」となり印紙の貼付が必要です。この際、注文請書に金額が記載されていなくても、見積書又は注文書に
おいて契約金額が記載され、契約金額が明らかである場合は、当該契約金額に応じ印紙の貼付が必要です。
尚、建設工事の請負契約書には、印紙税の軽減措置が設けられているので注意が必要です。
第3問:◯
建設工事の請負に係る契約に基づき作成される契約書であれば、建設工事以外の請負に係る事項が併記されていても、
軽減措置の対象となります。
第4問:✕
印紙税の課税文書になるかどうかは、文書のタイトルや名称で決まりません。あくまで文書の内容を持って判断され
ます。従って、覚書の内容が課税文書に該当する場合は印紙の貼付が必要となります。
第5問:◯
郵便局や印紙売りさばき所(コンビニ等)で購入する場合、消費税は非課税となります。しかし金券ショップでの
購入は非課税規定に定められていない為、消費税が課税となります。従って、法人の場合は課税仕入が増えること
となり、消費税の節税に繋がります。
以上、基本的な印紙税のQ&Aを出題しました。
ホームページにも印紙税入門のコーナーがございますので、是非ご興味のある方は御覧ください。