~支払調書の提出範囲~

1月は源泉徴収票や給与支払報告書、支払調書など法定調書の作成、提出の時期です。
今回は支払調書のうち、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」と「不動産使用料金等の支払調書」について簡単にご説明します。

支払調書とは?

支払調書とは所得税法や相続税法、租税特別措置法などの規定により税務署への提出が義務付けられている資料である法定調書の1種です。支払調書とは、その年の1月から12月までに特定の支払いをした法人等が、支払先ごとに内容や明細を記載て作成し、1月末日までに税務署に提出する書類です。
支払調書の種類によって、税務署に提出しなければならない範囲が決まっています。

 

1.報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書の提出範囲

①外交員、プロボクサー、キャバレー等のホステス等の報酬・料金、広告宣伝のための賞金については、同じ人に対するその年の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
②馬主に支払う競馬の賞金については、その年の1回の支払賞金額が75万円を超えるものの支払を受けた者に係るその年中の全ての支払金額
③プロ野球の選手などに支払う報酬、契約金については、その年の同じ人に対する支払金額の合計額が5万円を超えるもの
④弁護士や税理士等に対する報酬、作家や画家に対する原稿料や画料、講演料等については、同じ人に対するその年の支払金額の合計額が5万円を超えるもの
⑤社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬については、同じ人に対するその年の支払金額の合計額が50万円を超えるもの

提出範囲は以上になっています。④の税理士等に対する報酬がある会社は多いのではないでしょうか?
なお、金額については、消費税(地方消費税を含む)を含めて判断しますが、消費税が明確に区分されている場合は、消費税を含めずに判断しても差し支えないとされています。

 

2.不動産使用料金等の支払調書の提出範囲

不動産使用料金等の支払調書を提出する義務がある方は、不動産(不動産の上に存する権利も含む)、船舶(総トン数20トン以上の船舶のみ)、
航空機の借受けの対価、不動産の上に存する権利の設定の対価を支払ったすべての法人、個人で不動産業を営む人(ただし、主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる方は提出義務がありません)です。

会社や不動産業を営む個人事業主以外の人は家賃を払っている大家さんに支払調書を提出しなくても良いということですね。
また、法人に支払う不動産の使用料等については、権利金、更新料等のみを提出することになっていますので、法人に対する通常の家賃や賃借料のみを支払っている場合には、税務署に支払調書を提出する必要はありません。

不動産使用料金等の支払調書の提出範囲は、同じ人に対するその年の支払い金額の合計が15万円を超えるものです。
この金額には賃借料だけではなく、下記のようなものも含まれます。
①地上権、地役権の設定あるいは不動産の賃借に伴って支払われる権利金、礼金
②契約期間の満了に伴いまたは借地の上にある建物の増改築に伴って支払われる更新料、承諾料
③借地権や借家権を譲り受けた場合に地主や家主に支払われる名義書換料
※催物の会場を賃借する場合のような一時的な賃借料や陳列ケースの賃借料、広告等のために塀や壁など建物や土地の一部を使用する場合の賃借料についても提出する必要があります。

 

金額については税理士等に支払う報酬の支払調書と同様に、消費税を含めて判断することが原則ですが、消費税が明確に区分されている場合は、消費税を含めずに判断しても差し支えないとされています。

同じ人に対する家賃や敷金、更新料の合計が年間で15万円を超える場合には提出が必要となってきますが、法人に対するものについては、権利金、更新料等のみの提出になることがポイントです。

 

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