国税庁は政府共通の業務実施環境である『ガバメントソリューションサービス』を導入することに伴い、令和7年9月より段階的に、税務調査で必要に応じて、調査官と納税者がメールでやりとりすることやWEB会議システムでの面談、オンラインストレージサービスによる帳簿書類等データの受渡し(以下、「オンライン調査等」)を開始し、税務調査のデジタル化を一気に進めることになります。
1.対象税目
オンライン調査等の対象は、法人・個人に関わらず、法人税、消費税、源泉所得税、個人所得税のほか、譲渡所得や相続税・贈与税等の資産税も含まれます。
つまり、国税に関する全ての納税者への調査等において、必要に応じてオンライン調査等が実施されることになります。
2.調査方法
オンライン調査等の対象となる『調査等』には、実地の調査や行政指導、書面添付制度に係る意見聴取が該当します。
オンライン調査等の方法としては、次の事項が挙げられます。
(1)インターネットメールでの連絡
事前通知は従来どおり、原則電話等の口頭となりますが、その後の調査官との連絡ではメールを利用します。具体的には、事前通知後は、調査官より調査で必要となる資料の準備の依頼がメールで行われるなどです。
(2)WEB会議システムによる面談
WEB会議システム『Teams』を利用して、調査等に係る質問や回答等のヒアリングが行われます。
(3)オンラインストレージサービスでのデータの受渡し
インターネットメールやe-Taxのほか、オンラインストレージサービス『PrimeDrive』を利用して、調査官から求められた帳簿書類等の資料のデータの受渡しを行います。
3.事前の手続きが必要
オンライン調査等は、納税者の利便性向上や税務行政の効率化を図る目的で実施されますが、あくまでも調査等で必要に応じて行われるものであり、強制ではありません。
基本的には、調査等に当たり調査官が納税者の同意を得た上でオンライン調査等を実施することとなり、その際、納税者は調査官に同意書を提出するなどの手続きが必要となります。
例えば、「インターネットメールでの連絡」を行う場合は、メールアドレスの登録等の手続きを行う。また、あくまで調査等で必要に応じて行われるため、「インターネットメールでの連絡」は行うものの、面談はオンラインではなく調査官と納税者が対面で行うといったケースも考えられます。
今後は、税務調査のデジタル化により、これまでの電話連絡、対面での面談、郵送による税務調査から現場の対応が大きく変わっていくことになるでしょう。