インボイスとクレジットカードの利用明細書について

　2023年10月1日に導入されたインボイス制度ですが、インボイス（適格請求書）がどのようなものかご理解されているでしょうか。カード決済においても仕入税額控除が認められるためにはインボイスの保存が必要になるので、カード決済で保存すべきインボイスについて理解していきましょう。

１．インボイス（適格請求書）とは

　特定の事項が記載された請求書などの書類のことです。売手が買手に対して作成・交付する書類で、買手は売手が作成・交付したインボイスを保存しておくことで当該取引の仕入税額控除が認められます。

【インボイスの記載事項】

（1）適格請求書発行事業者の氏名または名称、登録番号
（2）取引年月日
（3）取引内容（軽減税率の対象品目である旨）
（4）税率ごとに区分して合計した対価の額（税抜または税込）および適用税率
（5）税率ごとに区分した消費税額等
（6）書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

２．クレジットカードの利用明細書はインボイスに該当するのか

　結論から述べますと、クレジットカードの利用明細書はインボイスには該当しません。これには2つの理由があります。

　 理由①：カード会社から送られる請求明細やカードの利用明細は、インボイス記載事項が一部欠けて　いるため、インボイスの要件を満たすことができません。

　 理由②：クレジットカードの利用明細書は実際に取引を行った相手（売手）が作成・交付したものではなく、クレジットカード会社が作成・交付しているので、インボイスには該当しません。

　カード決済をしている場合は、インボイスとして保存する書類を間違えないようにしましょう。必要な書類はカード加盟店（売手）が作成・交付した書類で、要件を満たす特定事項が記載されているものです。