被災者と印紙税の非課税措置について

数年に一度の規模の大雨や台風上陸等、温暖化の影響か自然災害の規模が年々大きくなっているように感じます。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。今回は自然災害により被害が生じた場合の印紙税の非課税措置をご紹介します。

 

1.制度の概要

自然災害により損壊等した建物の修繕や建替え、損壊した建物の土地の譲渡等を行うため、被災者が事業者との間で交わす「建設工事請負契約書」又は「不動産売買契約書」(以下、「契約書等」という。)は、一定の要件を満たすことで印紙税が非課税になります。

しかし、被災者以外の者が交わしたものについては印紙税の課税対象となる点に注意が必要です。

 

2.制度の要件

(1)対象物

自然災害の被災者が作成する契約書等で、その内容が、被災した建物の敷地の譲渡や損壊建物の譲渡、修繕、代替する土地建物の取得等に該当するもの(以下、「損壊建物等」という。)については、当該自然災害の発生した日から同日以後5年を経過する日までに作成されるものについては印紙税の非課税措置が設けられています。

(2)対象者

非課税措置の適用対象となる被災者の範囲は、損壊建物等に係るり災証明等を受けた者や、その証明書の交付前後に被災者が亡くなった場合における相続人等です。

(3)例示

①被災した父母の家屋の修繕のため、父母と離れて暮らす子が共同で建設工事請負契約書を作成して保存する場合

・父母が保存する契約書は被災者が作成したものとするみなし規定により非課税

・その子が保存する契約書は被災者以外の者が作成したものとみなされるため課税

②父母と子による共同ではなく、父母だけが契約書を交わし、子は契約内容の確認等のために保存用として契約書の写しだけを保存する場合

・父母が保存する契約書は非課税

・子が父母から契約書(原本)の写しの送付を受けて保存する写しは単なる控えのため課税対象となりません。