外貨建預金による株式等購入

依然として円安が続く中、円相場が1ドル=150円を超えるなど不安定な状態が続いています。

しかし、外貨建預金など円以外の通貨を保有されている方にとっては、昨今の円安は外貨建預金の払い出しを検討する良い機

会であるとも言えます。

ただし、居住者(事業所得者に該当しない者)が外貨建預金を払い出して株式等の資産を購入した場合、株式等の購入価額の

円換算額とその購入に充てた外国通貨を取得した時の為替レートにより円換算した金額の差額を「雑所得」として申告する必

要があることに注意が必要です。

 

 1.為替差損益の計算

  為替差損益の計上については、「実現したもの」が確定申告の対象となります。

  単なる含み益(評価益)の状態では確定申告の必要はありません。

  外貨建預金をもって資産を購入した場合には、それまでは評価差額にすぎなかった為替差損益に相当するものが、収入す

  べき金額として実現したものと考えられるため、確定申告の対象となります。

  <例>

   米ドル建て預金を払い出し、10万ドルで米国株式を購入した場合

   (預け入れ時のレート 1ドル=100円、払い出し時のレート 1ドル=160円)

     為替差益=(160円-100円)/ドル×10万ドル ⇒ 600万円

   こちらを雑所得として申告計算を行う必要があります。

   つまり、100円×10万ドル=1,000万円の預金で160円×10万ドル=1,600万円分の株式を購入することが出来たのだ

   から、差額600万円は為替差益として「実現した」と考えるわけです。

 

  2.外貨建MMFの活用

  上述の様に外貨建預金を活用した運用の場合、為替差益については雑所得として課税対象となり確定申告が必要となりま

  す。それは外貨建MMF(マネー・マーケット・ファンド)を活用した運用であっても同様です。

  外貨建預金に預け入れた時点のレートと外貨建MMFに投資した時点でのレートの差額を為替差益として認識します。

  ただ、外貨建MMFを活用した場合、収益分配金にかかる税金については源泉徴収されるため、確定申告は不要です。

   ※確定申告を行い、他の投資信託などの譲渡損失と損益通算を行うことも可能です。

  勿論、外貨建預金を保有していない場合であっても、外貨建MMFを始めることは出来ます。

  為替取引を行う場合には、為替レートの他にスプレッドを考慮する必要があるため、ご注意ください。

   ・円売り外貨買いの場合・・・為替スプレッドを上乗せした為替レートでの取引

   ・外貨売り円買いの場合・・・為替スプレッドを控除した為替レートでの取引