新紙幣に伴う券売機等の改修費の取り扱い

令和6年7月3日より20年ぶりに紙幣のデザインが変更となります。これに伴い、レジや券売機等のシステム改修が

必要となる方もいらっしゃるかと存じます。今回はこの改修費の税務上の取り扱いについてご説明いたします。

1.改修費の原則的取り扱い

 1)固定資産の通常の維持管理や、原状を回復するための費用

    →修繕費として一度に損金算入(費用処理)が可能

 2)固定資産の価値を高め、又は耐久性を増すための費用

    →原則として資本的支出に該当する為、資産として計上し、減価償却によって費用計上する

2.新紙幣発行に伴う改修費用の取り扱いは?

   国税庁は、今回の新紙幣発行にあたり、過去の消費税率の改正やインボイス制度の導入時と同様、取り扱いについて

  情報を公表しました。これによると、新紙幣に対応するための券売機等の改修費用等は、機能を新たに追加、向上

  させるものではなく、原状の機能を維持する為の費用である事から、修繕費として処理が可能としています。

   一方、これを機に新たな機能を追加する場合は、当該部分は資本的支出になります。

3.資本的支出の特例

 上記2で資本的支出とされた場合でも、以下の場合は、修繕費として処理することができます。

 1)修正に要した費用の額が20万円未満の場合

 2)資本的支出であるか修繕費であるか明らかでない金額がある場合、その金額が以下のいずれかに該当する場合

   ① その金額は60万円未満の場合

      ② その金額が、修正に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合