近年、DX分野をはじめとする専門的で高度な知識を従業員に積極的に習得してもらうために、研修会・講習会の受講料や学校
の授業料等の必要な費用を会社が補助する動きが活発になっているようです。
そこで今回は、会社がこうした受講料や授業料等を負担した場合の所得税法上の課税関係についてご紹介したいと思います。
1.学資金は業務関連性を問わず非課税
会社が指定する資格の取得を希望する従業員(役員を除く)に対し、専門学校等の授業料など資格取得に必要な費用を会
社が負担する場合など学資に充てるため給付される金品(以下「学資金」)は、所得税法上“給与その他対価の性質を有す
るもの”の除き非課税とされています。
ただ、給与その他対価の性質を有する学資金であっても、法人の役員や使用人の親族等の一定の者の学資に充てるもの以
外のものであれば、非課税となります。
つまり、会社が一定の従業員に対し、学資金として通常の給与とは別のものとして支給するものは非課税になるというこ
とです。
この場合、その従業員の職務遂行上直接必要な費用であるかどうかは問わないとされています。
例えば、従業員が資格取得を目標とした大学院の授業料を会社が負担した場合、従業員の職務に直接必要な技術等の習得
とは言い難いものであっても、非課税扱いとなるということです。
2.セミナー等は業務関連性があるものが課税対象外
一方、研修会などセミナー等の受講料に関しては、役員を含む従業員の職務遂行上直接必要なもので、その費用が適切な
金額であれば非課税でよいとされています。
使用人等に対し技術の習得等をさせるために支給する金品が課税対象外とされるのは、その者の職務内容の質的向上を図
る目的で支給される金品であるためで、それにより習得する知識・技術等は、社内研修により習得する技術や知識等と本
質的に異ならないと考えられるためです。
つまり、職務を遂行する過程において社内研修で習得する技術や知識等を、外部セミナーを通じて習得しているのと変わ
らないのだから、そこに要する費用は非課税として扱いましょう、ということになります。
上記内容を表にまとめると以下のようになります。
1.学資金
内容 | 受講者 | 給与課税の有無 |
学資金に該当するもの(その者の職務遂行上直接必要でないものを含む) | 役員等 | 課税 |
使用人 | 非課税 |
2.セミナー受講料等
内容 | 受講者 | 給与課税の有無 |
その者の職務遂行上直接必要な一定のもの | 役員・使用人 | 課税対象外 |
上記以外 | 役員・使用人 | 課税 |