2月16日から所得税の確定申告が始まりました。確定申告をされる方の中には、令和5年度に退職金を受け取った方も
いらっしゃるかと存じます。そこで今回は、退職金を受け取った場合における、確定申告の注意点をご説明致します。
1.退職金を貰った場合、確定申告は必要?
最初に結論を申し上げますと、確定申告を行う場合、退職所得も確定申告に含める必要があります。
退職金を貰った場合、勤務先が退職金に係る所得税・住民税を計算して、退職金から源泉徴収しています。また、退職金は
所得税の計算上「退職所得」に分類され、給与や年金、不動産収入とは合算せずに、税額を計算する為(分離課税)、殆ど
のケースでは確定申告の際、退職所得を含めても、含めなくても所得税の金額は変わりません。その為、退職金は確定申告
の際に申告が不要と勘違いされている方も多くいらっしゃいます。
しかし、以下のケースの様に退職所得を含めると税額が変わる場合もありますので、注意が必要です。
2.確定申告で退職金を含めることで税額が変わるケースとは?
「退職所得」は分離課税ですが、基礎控除や配偶者控除の判定の基礎となる「合計所得金額」には退職所得が含まれる
点が、税額が変わる原因になります。例えば、基礎控除は、合計所得金額が2,500万円超では控除額がゼロとなるなど、
合計所得金額で控除額が決まるものがある為、退職所得を含めることで税額が変わるケースが出てくるのです。
3.退職所得の金額の計算方法
確定申告時には退職金を含める必要がある点を述べましたが、具体的に「退職所得」がいくらになるのかは以下の
計算式で算定できます。
○退職所得=(退職金の額(額面)-退職所得控除額)×1/2
※退職所得控除額
・勤続年数20年以下 40万円×勤続年数
・勤続年数20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)
(勤続年数が5年以下である場合には、退職所得の計算式が異なるケースがあります)