2024年税制大綱が発表され、飲食費の5,000円基準が引き上げられる見通しとなりました。
中小企業においては『年間800万円までは損金算入できる』という認識からあまり深く考える機会がないかもしれませんが、
この機会に改めてご確認下さい。
1.交際費等から除外される飲食費
そもそも交際費等とは、「得意先・仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに
類する行為のために支出するもの」と定義されています。
飲食費については1人あたりの金額が5,000円以下であればその支出を交際費等から除くことが出来ましたが、今回の改正に
よりこの基準が10,000円以下に引き上げられる見通しです。
2.金額の判定
基本的な考え方は5,000円判定の時と同じですが、支払った金額を人数で割る際に注意しなければならないことがあります。
まず一つ目は、その法人の経理処理の方法です。
①税込経理の場合
税込価格での判定となります。
②税抜経理の場合
支払った金額を税抜価格に直した上で一人あたりの金額を算出し、判定を行います。
次に、税抜経理の場合には本体価格部分のみでの判定となりますが、インボイス発行事業者登録を受けていない飲食店で
食事をした場合の金額判定はどうなるでしょうか?
正解は、「控除対象外消費税額を加算した金額で判定を行う」になります。
<例(税抜経理)>
4名で44,000円(税込)の飲食代を支払った場合を考えましょう。
税抜価格40,000円÷4名=一人あたり10,000円となり、交際費等から除外することが出来るように見えます。
上述の通りに判定しているわけですから、決して間違っているわけではありません。
ただし、飲食を行った店舗がインボイス発行事業者でない場合に限り、この考え方は誤りとなります。
現在の80%控除で考えますと、支払った消費税4,000円×80%=3,200円しか控除出来ません。
したがって、差額800円は本体価格に加算されることになります。
つまり、(40,000円+800円)÷4名=一人当たり10,200円>10,000円と考える必要があります。
よって、本ケースの飲食費については『交際費等から除外することは出来ない』となります。
いくらまでなら大丈夫なのか疑問に感じると思いますが、これについては税抜9,804円(税込10,784円)以下ならば、
上述のように控除対象外消費税額を加算した場合の金額が10,000円以下になります。
3.保存書類の記載事項
こちらについては従前と変わりありません。
①飲食等のあった年月日
②飲食等に参加した取引先の氏名又は名称及びその関係
③飲食等に参加した人数
④飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称及び所在地
⑤飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項(但し書き等)
※通常発行される領収証・レシートであれば、②と③を会社で追記する必要があると思います。