令和5年分所得税の確定申告については、令和6年2月16日から3月15日の期間受付けられます。(還付申告について
は、1/1から受付)今回は、確定申告の変更点についてご紹介したいと思います。
1.納税地の異動・変更の手続きが原則不要に
令和5年1月1日以降に所得税や消費税の納税地の異動・変更をする際の届出書の提出が不要になりました。国税当局は
納税者の納税地の異動・変更について所得税または消費税の申告書に記載された情報から把握するようになります。
また、振替納税を利用していた方で異動後も引き続き利用したい方は、確定申告書内の「振替継続希望」欄に丸印を付す
事で振替納税の継続が可能となります。
なお、国税当局への連絡先変更などのため、年の途中で納税地を異動または変更する必要がある場合は、「所得税・消費
税の納税地の移動または変更に関する申出書」を提出することが可能です。
2.上場株式等の配当・譲渡所得の課税方式の統一化
これまで上場株式等の配当・譲渡所得について所得税と住民税でそれぞれ異なる課税方式を選択できましたが、公平性を
考慮し、令和5年分から「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」欄が削除されたため所得税と住民税で課
税方式が統一されるようになりました。具体的には以下のようになりますので注意が必要です。
・所得税で申告不要を選択した場合: 個人住民税でも申告不要になる
・所得税で総合課税・分離課税を選択した場合: 個人住民税も同じ課税方式が適用になる
3.青色申告決算書・収支内訳書の記載について
青色申告者用の「青色決算書」では、令和4年分までは「売上(収入)金額の明細」や「仕入金額の明細」欄が存在しま
せんでした。しかし、令和5年分からこれらの欄が新設され、同様に登録番号(法人番号)を記入するための任意の欄が
追加されています。
白色申告者用の「収支内訳書」では、「売上(収入)金額の明細」と「仕入金額の明細」欄に取引先の名前、住所、取引
金額の記載が必要でした。令和5年分からは、これらの情報に加えて、任意で登録番号や法人番号を記載するための欄が
新たに設けられています。
4. その他
1)「納付書」の送付について
行政コストの削減のため、送付対象者の見直しにより、以下の方々には納付書の送付が行われなくなりました。
ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付(二次元コー
ド)を利用する人。e-Taxを通じて申告書を提出する法人など。
2)国税庁 確定申告書等作成コーナーについて
給与所得の源泉徴収票・国民年金基金掛金・iDeCo・小規模企業共済掛金がマイナポータル連携の対象となりました。
マイナポータル連携とは、所得税の確定申告の手続きにおいて、マイナポータル経由で、控除証明書等のデータを一括で
取得できる機能です。これにより、各種申告書の該当項目に自動入力が行えるため、申告書の作成が楽になります。