インボイス事業者登録の柔軟化と2割特例

インボイスの事業者登録の申請は1月末時点で247万件となっています。令和5年度の税制改正でさらなるインボイス事業者登録を進めるために登録申請の柔軟化と負担軽減措置が講じられます。

1.インボイス事業者登録

インボイス制度が開始される令和5年10月1日から登録を受けるためには、原則として令和5年3月31日までに登録申請書を提出する必要があり、4月以降に登録申請する場合には、申請書に『期限までの申請が困難な事情』を記載することとされていました。

今回の改正で、4月以降の登録申請であっても、『困難な事情』の記載は不要とされます。9月30日までに行われた申請については、インボイス制度が開始する10月1日に登録を受けることが可能です。

2.2割納税の特例

(1)内容

免税事業者がインボイス発行事業者を選択した場合に、消費税の納付税額を売上税額の2割に軽減する激変緩和措置です。

  例:課税売上500万円(売上消費税額50万円)、課税仕入150万円(仕入税額控除15万円)の場合

   ①原則課税の場合

    50万円 △ 15万円 = 35万円の納税

   ②2割特例の場合

    50万円 × 2割   = 10万円の納税(負担軽減25万円)

(2)適用対象者

インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった者です。

具体的には、免税事業者がインボイス発行事業者の登録を受け、登録日から課税事業者となる者など、インボイス発行事業者の登録をしなければ、課税事業者にならかった者が対象です。

従いまして、インボイス発行事業者の登録を受けていない場合には、2割特例の対象にはなりません。また、基準期間における課税売上高が1千万円を超える場合などインボイス発行事業者の登録と関係なく事業者免税点制度の適用を受けないこととなる場合や課税期間を1か月または3か月に短縮する特例の適用を受ける場合については、2割特例の対象にはなりません。

(3)適用期間

令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間となります。

個人事業者の場合には、令和5年10月1日に登録を受ける場合には、令和5年分(10~12月分のみ)から令和8年分までの計4回の申告が適用対象となります。

(4)手続き

事前の届出は必要がなく、消費税の確定申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記することで適用を受けることができます。

2割特例は簡易課税選択届出を提出している場合や原則課税でも適用が可能であり、2年継続適用などの制限もありません。