第4回 記載事項・電帳法の対応

第4回目となる今回は、インボイス制度の例外規定(適格簡易請求書)や、改正電帳法との関係性について国税庁HPで公表さ

れているQ&Aを抜粋する形でご紹介したいと思います。

 1.適格簡易請求書

   適格請求書発行事業者が、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う次の事業を行う場合には、適格請求書に代

   えて、適格請求書の記載事項を簡易なものとした適格簡易請求書を交付することが出来ます。

     ①小売業    ②飲食店業

     ③写真業    ④旅行業

     ⑤タクシー業  ⑥駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限ります)

     ⑦その他これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業

   登録番号や適用税率、税率ごとに区分した消費税額等を記載しなければならないことは適格請求書と同じですが、「書

   類の交付を受ける事業者の氏名・名称」の記載を省略することが出来ます。

   ①~⑤については、「不特定かつ多数の者に対するもの」との限定はありませんので、その業態を問わず、適格簡易請

   求書を交付することができます

 2.インボイス制度と改正電帳法との関係

   適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方から求められたときは、適格請求書

   を交付する必要がありますが、交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供することができます。

   電磁的記録による提供方法としては、例えば次の方法があります。

     ①EDI取引における電子データの提供

     ②電子メールによる電子データの提供

     ③インターネット上にサイトを設け、そのサイトを通じた電子データの提供

   ※電磁的記録であっても、適格請求書の記載事項と同じ内容の記録である必要があります。

   次に、こうした電磁的記録を受け取った場合ですが、適格請求書の記載事項を満たしている場合には、当該電磁的記録

   を適切な形で保存することで仕入税額控除の要件を満たすことになります。

   ※提供を受けた電磁的記録の保存方法につきましてはすでにご紹介済みのため割愛します。

   例えば下図のように、EDI取引を行っていて、月まとめで書面により請求書を交付している場合を考えてみましょう。

           

   この場合、請求書・請求明細のいずれを見ても適格請求書の記載事項を満たしていません。

   しかし、適格請求書は一つの書類のみで全ての記載事項を満たす必要はなく、書類と電磁的記録の関連が明確であり、

   取引内容を正確に認識できる方法で交付されていれば、書類と電磁的記録の全体により適格請求書の記載事項を満たす

   ことになります。

   したがって、例えば不動産の賃貸借契約書に関しても新たに契約書を作り直す必要はなく、現在の契約書で登録番号が

   不足しているのであれば、それを補うことが出来ればそれで良いということになります。

   貸主の登録番号通知書写しと組み合わせて記載事項を満たすのも一つの方法かもしれません。

 

  令和5年の税制改正大綱においてもインボイス制度に関する改正が盛り込まれていますし、今後も現在発表されている内容

  から変更が加えられる可能性は十分にあります。

  新たな情報が入りましたら、その都度ご紹介していきたいと思います。