2023年1月から監理技術者等(監理技術者と主任技術者)の専任要件が緩和され、専任が不要となる請負金額の上限を4,000万
円未満に引き上げられます。同時に、特定建設業の許可が必要となる下請金額の下限も4,500万円以上に引き上げられます。
上記の建設業法施行令の改正案がまとめられ、2023年1月1日に施行される見通しです。
①監理技術者等の専任不要上限額 | 3,500万(7,000万)⇒4,000万(8,000万) |
②特定建設業許可、監理技術者配置、施工体制台帳作成が必要となる下請金額の下限 | 4,000万(6,000万)⇒4,500万(7,000万) |
③下請の主任技術者が配置不要となる特定専門工事での下請金額の上限 | 3,500万⇒4,000万 |
④技術検定の受験資格見直し | 学歴に応じた要件廃止。 一次検定の受験資格を1級19歳以上、2級17歳以上に |
⑤第一次検定の一部免除制度創設 | 一定の知識を有する者で一部受験科目免除 (詳細は告示で定める) |
※かっこ内は建築工事での金額になります。
全て消費税込での判定となります。
①について、現行の制度では、『元請・下請を問わず、請負金額が3,500万円以上(建築一式の場合は7,000万円以上)の場
合、配置する技術者は「専任」でなければならない』と規定されています。その上限額が500万円(建築一式の場合は1,000
万円)引き上げられることになります。
今回の改正は、昨今の建設資材高騰の影響で建設工事費の相場が上昇していることや、令和元年10月に引き上げられた消費
税増税が背景にあるとされています。
ご参考までに、監理技術者については5年ごとに監理技術者講習を受講する必要があります。
この有効期間については令和3年1月1日より改正が行われており、『講習を受講した日から受講した年の5年後の12月31日
まで』と定められています。
この改正により全ての監理技術者の有効期限が12月31日となるため、受講者が年末に集中することが予想されます。新型コ
ロナの影響もあり、各講習会場では定員数を減らしているようですので、有効期限が近付いている方は、早めに受講される
ことをお勧めします。
②について、現行の制度では、『発注者から直接工事を請け負う元請業者が、4,000万円以上(建築一式の場合は6,000万円
以上)を下請契約(複数ある場合にはその総額)する場合』には、特定建設業の許可が必要となります。その上限額が500万
円(建築一式の場合は1,000万円)引き上げられることになります。
技術者制度では上記の他に、請負金額が4,000万円以上1億円未満の工事でICTを活用した場合に監理技術者等の兼任を2現場
まで認める新たな兼任制度を創設する話が出ていますが、こちらは法改正が必要となるため、施行令改正だけで対応できる
専任不要上限額の引き上げを先行する形となっています。