建設経済研究所と経済調査会は6日、2022年度の建設投資見通しをまとめました。それによると、22年度の建設投資総額(名
目値)は前年度比3.1%増となる62兆7,600億円と見込まれています。4月の推計を2.6ポイント上回っており、7,800億円上方
修正した形になります。
一方、実質値では前年度比1.8%減となる52兆8,824億円になると推計されており、名目値と実質値の前年度比が4.9ポイント
も開いていることになります。名目値と実質値でこれほど差が開くことは非常に稀とのことで、昨今の急激な物価高騰が背景
にあることは明らかです。
建設投資を項目別に見ていきますと、
「政府建設投資」 ・・・前年度比1.5%増(+23兆 400億円)
「民間住宅投資」 ・・・前年度比2.4%増(+16兆4,400億円)
「民間非住宅建設投資」 ・・・前年度比6.7%増(+17兆 900億円)
「民間建築補修投資」 ・・・前年度比1.8%増(+ 6兆1,900億円)
と、名目値はいずれも前年度比では増加すると見込まれています。
しかし、建設投資の実質値を項目別に見ると、「民間非住宅建設投資」以外は全て前年度比で減少すると予測されています。
物価高騰を懸念する動きはすでに始まっています。
日本建設業連合会は、建設資材の高騰によるシワ寄せが建設業者に偏ってしまうことのないよう、「建設工事を発注する民間
事業者・施主の皆様に対するお願い」と題したパンフレットを作成し、建設業者が発注者との交渉をスムーズに行えるように
しています。
しかし、国土交通省が主要な元請企業を対象に1~3月に行った調査によると、物価高騰を踏まえた契約変更の申し出が発注者
に受け入れてもらえないケースが25%あったことが明らかになりました。さらに、下請からの契約変更の申し出を元請が断っ
ているケースも14%あったことが明らかになりました。
特に民間工事においては発注者への価格転嫁が進んでいないという厳しい実態が浮き彫りになっています。
今回のように様々なデータが今後も公表されていくことで発注者にも物価高騰の認識が広がり、契約変更がより柔軟に行われ
るようになることが期待されます。