間違いやすい事例集 第9回:確定申告

実務上で間違いやすい事例シリーズ 第9回目のテーマは確定申告です。

今回は、主に申告が必要か否かを中心とした◯✕問題となっています。

<問題>

第1問:令和3年3月に定年退職し、その後年末まで仕事はしていません。今年度の収入は3月迄の給与90万円のみです。

     給与が103万円以下の場合は所得税がかからないので、確定申告は必要ない。

第2問:令和3年度の医療費を集計したところ、夫である私の医療費は年間12万円、妻の医療費は年間6万円でした。

     妻はパートに出ており配偶者控除から外れているので、私の医療費12万円だけで医療費控除を行う予定です。

第3問:令和3年分の医療費のレシートを整理していたところ、令和2年分の医療費のレシートが大量に出てきました。

          令和2年度は確定申告を行っていません。令和2年度の確定申告期限は過ぎているが、令和2年度分の確定申告

          は今からでも行える。

第4問:今年度のふるさと納税は、確定申告が不要となる『ワンストップ特例制度』を使用しました。今回、給与以外の

    収入があった為、確定申告を行いますが、ふるさと納税については、ワンストップ特例制度を使用しているので、

          確定申告でふるさと納税分の申告は必要ない。

第5問:現在の勤務先からの給与以外にも、副業で年間30万円の収入があります。この収入を得るのに掛かった経費は

           年間20万円です。この場合、副業についても確定申告する必要がある。

 

<解答>

第1問:◯(但し、申告した方が得する場合が多い)

     →その年度の給与収入が103万円以下の場合は、所得税がかからない為、申告の義務はありません。

               但し、中途退職の場合は、毎月の給与から所得税が源泉徴収されている場合が殆どです。その場合、

               確定申告をする事で、源泉徴収された所得税が還付されますので確定申告をした方が得になります。

第2問:

     →医療費控除は、同一生計の家族であれば、合算して申告する事が出来ます。配偶者控除や扶養控除の対象か

              否かは問題ありません。一般的には、家族全員の医療費の合計額が年間10万円を超えた場合、医療費控除が

      受けられます。この場合、家族で最も所得の多い方にまとめて医療費控除を行う方が有利となります。

第3問:

     →確定申告の申告期限は原則として翌年3月15日迄ですが、還付金申告ができる期間は、対象の年から5年以内

       です。設問の場合、令和2年分の医療費控除の申請期間は、令和3年1月1日~令和7年12月31日迄であれば何時

       でも申告可能です。

第4問:

     →確定申告を行うと、ワンストップ特例制度の申請がすべて無効になります。従って、確定申告を行う場合、

             ワンストップ 特例制度で申請した分も申告する必要があります。

第5問:

     →給与所得以外の所得金額が20万円超の場合、確定申告の必要が出てきます。この場合、収入金額では無く、

              所得金額である点に注意が必要です。設例の場合、所得金額は30万円-20万円=10万円なので、確定申告の

              必要はありません。但し、別途住民税の申告が必要な点は注意が必要です。