実務上で間違いやすい事例シリーズ、第6回目のテーマも5月号に引き続き「相続の基本知識」です。
出題は5題、全て○×問題です。
<問題>
第1問: 国税庁発表の令和元年分相続税の申告件数(被相続人数)は、10万件より多い?
第2問: 令和元年度中に裁判所で調停となった相続の遺産分割事件で、件数の多かった金額は
5,000万円超だった?
第3問: Bさんは、奥様、お子様2人の4人家族でした。奥様を受取人とする総額2,000万円の
死亡保険金に加入しその後亡くなりました。受け取った保険金2,000万円は全て相続
税の課税対象となる?
第4問: Cさんは生前ご自分のためにお墓を建てました。このお墓は相続税の課税対象となる?
第5問: Cさんが亡くなり、相続人はお通夜、告別式を行い、遠隔地から来てくれた親戚のため
法事でまたすぐ来てもらうのは気の毒と考え、初七日、四十九日法要も併せて行いその
費用を支払いました。相続税の申告の際この費用は全て遺産総額から差し引ける?
<解答>
第1問:〇
全国で115,267件の申告がありました。この内相続税が課税されない(小規模宅地等の適用
によるものと思われます)申告は32,534件でした。納税額は1兆9,754億円となっております。
第2問:×
全7,284件の内 5,576件(76.6%)が5,000万円以下でした。そのうち1,000万以下34.0%、
1,001~5,000万円以下42.6%となっていました。5,000万円超は23.4%となっていました。
遺産の多い方が争いが多いと思っていましたが意外な結果かも知れません。
第3問:×
相続人3名(奥様、お子様2人)×500万円=1,500万円までの控除があります。
残りの500万円が相続税の課税対象となります。
第4問:×
お墓は通常、相続税の課税対象には含まれません。ただし投資の対象、商品として所有し
ているものは相続税の課税対象となります。×
第5問:×
通夜、告別式の費用は葬式費用として遺産総額から差し引く債務に含まれます。
なお初七日、四十九日法要などの法事の他、香典返しの費用は含まれません。