先月より始まった、実務上で間違いやすい事例シリーズですが、第2回目となる今回のテーマは
「新入社員の手続きについて」です。
今回も出題は5題、全て〇×問題です。
設問の文章が正しければ〇、間違っていれば×(理由も併せてお考え下さい)とお答え下さい。
問題の後に解答も掲載しておりますので、是非挑戦してみて下さい。
<問題>
第1問:労働条件通知書の交付と雇用契約書の締結について
労働者を雇用した場合、会社側は労働条件を明示した労働条件通知書の交付と雇用契約書の締結を行います。
⇒当社では、正社員には書面にて労働条件通知書の交付と雇用契約書の締結を行っていますが、パート・アルバイトには口頭で必要な労働条件を伝えて、雇用契約書の締結のみを書面で行っています。労働条件についてはきちんと説明しているため、雇用形態に応じて差別化を図っても問題はない。
第2問:社会保険への加入について①
70歳未満の正社員は社会保険への加入義務があります。
⇒当社では新入正社員には3か月間の試用期間を設けているため、その試用期間中であれば正社員でも社会保険へ加入させなくても問題はない。
第3問:社会保険への加入について②
近年は労働力確保の観点からも外国人研修生を受け入れる会社が多くなっています。
⇒当社では、外国人研修生をこの度受け入れることになった。研修期間は3年間であり、研修後は母国に帰ることになっている。健康保険には加入させるが、厚生年金については年金の受給資格が得られないと考え、加入させなくても問題ない。
第4問:社会保険料の徴収について
社会保険料は、原則として月の末日に被保険者である場合に、その月の1ヶ月分の保険料が発生します。
⇒当社では、今回採用した1名の新卒社員が4月1日に入社し、4月25日に退職してしまった。社会保険への加入手続きは原則どおり4月5日に終わっているが、末日を迎えていないことから、その社員の4月分の社会保険料を徴収しなくても問題ない。
第5問:雇用保険への加入について
雇用保険は1週間の労働時間が20時間以上で通算31日以上雇用する見込みがある場合には加入義務あります。
⇒当社は、この度ダブルワークしている方を採用しました。その方はもう一方の会社で既に雇用保険に加入していますが、当社でも加入条件を満しているため、当社でも雇用保険へ加入させる必要がある。
<解答>
第1問:×
労働条件通知書は、労働契約の期間や就業の場所、従事すべき業務の内容など書面で明示しなければならない事項が労働基準法等に定められているため、雇用形態に関わらず書面にて交付する義務があります。
第2問:×
正社員の場合には、例え試用期間中であっても社会保険に加入する必要があります。
また、社員が試用期間中は加入しないことを希望したとしても、加入させる必要があります。
第3問:×
外国人研修生であっても、健康保険・厚生年金ともに加入させる必要があります。
また、一定の要件を満たせば、年金については脱退一時金を請求することができます。
第4問:×
同月内に資格を取得して、喪失した場合には、例外的にその月の1か月分の保険料が生じるため徴収が必要です。社会保険料は労使折半であるため、会社も半分保険料を負担しなければなりません。
第5問:×
雇用保険については、1社でしか加入手続きができません。既にもう一方の会社で加入している場合には、手続きの際に窓口で弾かれます。なお、原則は、給与の多い方の主たる会社で加入することになりますので、当社の方が多くなった場合には当社にて加入することになります。
また、ダブルワークの場合の社会保険については、加入要件を満たせば両社とも加入する必要があり、両社の給与額を合わせた金額で保険料が決定され、保険料の負担額はそれぞれの会社の給与額に応じて按分されます。