令和3年4月1日より、店頭等での価格表示に税込価格の表示(総額表示)が義務付けられます。
総額表示義務自体は平成16年4月より実施されていましたが、事業者のコストや手間を考慮して、猶予期間が
設けられていました。この猶予期間が3月31日で終了する事から、総額表示が完全義務化されることとなります。
1.どんな取引が総額表示義務の対象となるのか?
総額表示義務の対象となる取引は、事業者が消費者に対して商品の販売、役務の提供を行う場合とされています。
したがって、事業者間での取引については総額表示義務の対象となりません。
2.具体的表示例
では、どの様な価格表示が総額表示として認められるのか、具体例を記載します。
例)税抜10,000円、税込11,000円の商品の場合
【◯ 認められる表示例】
11,000円
11,000円(税込)
11,000円(税抜価格10,000円)
11,000円(うち消費税額等1,000円)
11,000円(税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)
【✕ 認められない表示例】
10,000円(税別)
10,000円(税抜)
10,000円+税
10,000円 ※表示価格は税別です。
★ポイント
支払総額である「11,000円」が表示されていればよく、「消費税額等」や「税抜価格」が表示されていても構いません。
3.対象となる表示媒体は?
対象となる価格表示は、商品本体による表示(商品に添付又は貼付される値札等)、店頭における表示、チラシ広告、
新聞・テレビによる広告など、消費者に対して行われる価格表示であれば、それがどのような表示媒体により行わ
れるものであるかを問わず、総額表示が義務付けられます。なお、口頭による価格の提示は、これに含まれません。
また、価格表示を行っていない場合にまで価格表示を強制するものではありません。
4.消費税の免税事業者はどうするの?
免税事業者(消費税を納める義務のない事業者)は、取引に課される消費税がありませんので、「税抜価格」を表示
して別途消費税相当額を受け取るといったことは消費税の仕組み上予定されていません。したがって、免税事業者に
おける価格表示は、消費税の「総額表示義務」の対象とされていませんが、仕入れに係る消費税相当額を織り込んだ
消費者の支払うべき価格を表示することが適正な表示です。
5.罰則規定は?
総額表示義務を違反した際の罰則は定められていません。従って、総額表示をしなくても処罰はさせません。
しかし、総額表示義務は国が定めた義務ですので、必ず守るようにしましょう。