環境省と気象庁は7月1日から、暑さ指数(WBGT値)に基づき熱中症への警戒を幅広く呼び掛ける「熱中症警戒アラート」
の運用を開始します。
まずは関東甲信地方の1都8県で先行して運用が開始されます。試行期間は7月1日~10月28日までとなっており、今回の運用
を検証した上で2021年度から全国展開される見通しです。
暑さ指数(WBGT値)とは、熱中症を予防することを目的としてアメリカで提案された指標で、単位は気温と同じ摂氏度
(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。
具体的には、
①気温 ②湿度 ③輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境
これらに基づき、人間の活動への影響を示す指数となります。
このWBGT値は熱中症のリスクを評価する上で気温よりも精度の高い指標とされており、労働環境や運動環境の指標として
ISOで規格化されています。
気象庁はこれまで一定の気温を超えた際に注意を促す発言を行っていましたが、より実効性を高めるため環境省が継続的に調
査しているWBGT値を利用することになりました。
WBGT値が33度以上に達し、「熱中症の危険性が極めて高い」暑熱環境が予測される際に、テレビ・ラジオや地方公共団体
などを通じてアラートを発信し、国民に注意を呼び掛けるとしています。
熱中症警戒アラートは前日の17時と当日の朝5時ごろに最新の予測値を基に、都県単位で発表されます。
アラートの発信時は企業に対しても「警戒を勧奨」することとしています。屋外や、空調機器が設置されていない屋内での運
動、活動の中止・延期を検討するなどの対策を促すとされています。
特に建設業においては空調設備のない環境での作業が大半を占め、さらに今年は新型コロナウイルスの感染症予防でマスク着
用が欠かせない状況ですので、従来とは比べ物にならないほど熱中症のリスクが高いと考えられます。
普段以上に作業員の健康管理へ配慮が求められる状況ですので、是非活用されてはいかがでしょうか。