3回に渡って連載して参りましたこのシリーズも、今回で最終回となります。
第1回目では、本プログラムの概要をご説明しました。このプログラムの大きな柱として3つ(①長時間労働の是正、②給与・社会保険、③生産性向上)があり、第2回目では①「長時間労働の是正」のなかの時間外労働の上限規制や週休2日工事の拡大についてご紹介しました。
第3回目となる今回は、2つ目の柱(給与・社会保険)を支える『建設キャリアアップシステム』と、3つ目の柱(生産性向上)を実現するための『ICT活用』について、詳しく見ていきたいと思います。
1.建設キャリアアップシステムについて
建設キャリアアップシステムとは、技術者の資格、社会保険加入状況、現場の就業履歴等を業界横断的に登録・蓄積する仕組みのことを指します。概ね令和5年を目途に全ての技能者(330万人)の登録を目標としています。
イメージとしては、以下の通りです。
システムに登録・蓄積された情報を活用し、技能者の処遇改善が図られる環境の整備を行い、技能・経験にふさわしい処遇(給与)が実現するよう、建設技能者の能力評価制度を策定します。
2.ICT活用
ICT..何となく生産性向上に役立ちそうなイメージが湧いてきそうですが、具体的には何でしょうか?
→Information and Communication Technology=情報通信技術のことで、建設業界でいうICTは『情報化施工』のことを指します。
分かりやすく言いますと、バラバラになっていた現場の情報(測量データや設計データなど)を同じ規格でまとめて、現場施工に利用していこうというものです。これによって、その現場の状況がデータとして色付けされて残るため、完成後のメンテナンス等にも役立ち、無駄をなくすことにも繋がります。
そして、中小企業をはじめとした多くの建設企業が、よりICT建機を活用しやすい環境を整えるべくICT建機の稼働実態に応じた積算・精算が可能となる「積算基準の改定」による改善が図られています。
また、このほかにもIoT技術等を活用して施工品質の向上と省力化を図ることや、施工時の関係基準類(工事成績評定要領、共通仕様書)の改定により、書類の作成負担軽減の推進も行われています。
3.結びに
これまで3回に渡り『建設業働き方改革加速化プログラム』についてご紹介させていただきました。
昨今、全産業で「働き方改革」が叫ばれていますが、なかでも建設業においては若手入職者が特に深刻な不足となっており、業界を挙げて魅力ある職場環境を創り出し、次世代へ繋げていく必要があります。
最後に下記のグラフを示させていただき、結びとさせていただきます。
お読みいただき、ありがとうございました。