令和元年6月に行われた法人向け保険に関する改正では、払済保険へ変更した場合の取扱いも一部変更となりました。
今回はこの改正における注意点をご説明します。
○払済保険とは?
払済保険とは、保険期間の途中で保険料の支払いが困難となった場合などに、保険料の支払いを中止し、既に支払った
保険料に係る解約返戻金を利用して保険契約を存続させるものです。
具体的には、払済保険への変更時点での解約返戻金を一時払い保険料に充当します。死亡時等に受け取る保険金は既存の
契約よりも減額されますが、保障は継続するため、資金繰り等で保険料の支払いが困難なケースでは保険会社から払済
保険への変更を提案されることがあります。
○払済保険への変更時の税務処理
1)原則
変更時の解約返戻金相当額と資産計上額の差額を益金又は損金にする(『洗替処理』という)
2)特例
一定の養老保険、終身保険、年金保険から同種類の払済保険へ変更した場合については、『洗替処理』は不要
○今回の改正での注意点
今回の改正では、上記特例の対象となる保険に定期保険、第三分野保険が加わりました。
その為、改正日(7/8)前に契約していた全損タイプの定期保険等から、改正日後に払済保険へと変更を検討する法人が
多いようです。しかし、改正前の保険契約を改正後に払済保険とする場合は、同種類の払済保険への変更となみなされず、
原則の『洗替処理』が必要となるケースがありますので、注意が必要です。
『洗替処理」が認められないケースの例
例1)入院特約などの特約が付加されている保険
例2)「逓増定期保険」「逓減定期保険」から「払済定期保険」への変更
→保険金額が平準となるため、同種類の変更とはみなされません。
「介護定期保険」から「払済終身介護保障保険」への変更
→保険期間が定期から終身に変更になるため、同種類の変更とはみなされません。