H31.3月決算より、従業員への給与支給額を増加した場合に税額控除を受けられる制度(所得拡大促進税制)の要件が
変更になり、より使いやすい制度となりました。
改正後の所得拡大促進税制の概要は以下の通りです(中小企業の場合)
<要件>
1.今年度の給与総額が前年度の給与総額より増えている事(※給与総額からは役員報酬等を除く)
2.前年度から継続して勤務している従業員への給与総額が前年度より1.5%増えている事
<税額控除額>
前年度と比較して増加した給与総額の15%(法人税額の20%を限度)
ここで、計算のベースとなる給与総額とは、『損金算入される給与等』と規定されている為、決算期末に計上する
『未払賞与』も計算の対象となります。つまり、所得拡大促進税制の適用を受ける為に、決算賞与の金額を調整
するといったケースも考えられます。この為、『未払賞与』の要件を満たしているかについて、税務調査で厳格に
確認されるケースが今後増えることが予想されます。
そこで、今回は未払賞与の要件を詳しく見ていきたいと思います。
<未払賞与の要件>
1.支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対して決算日までに通知をしていること
2.通知した金額を、通知した全ての使用人に対し、決算日の翌日から1月以内に支払っていること
3.その支給額を、通知日の属する事業年度において、損金経理していること
上記2及び3の要件は、それ程問題となる事はありません。最も注意すべき要件は1の要件です。
ここでポイントとなるのは『支給額の通知』です。通知は、支給する旨の通知だけでは足りず、あくまで『支給額』を
通知する必要があります。また、実際に決算日までに通知が行われたか否かを確認されるケースもあり、全ての
使用人別に書面やメールで支給額を通知した証拠資料を残しておくのが賢明です。