今月で現物給与についての連載は最終回となります。最終回は会社が役員または使用人へ金銭を貸付けた場合のその利息の取扱についてご紹介します。
1.給与課税となる場合
役員又は使用人に無利息又は低い利息で金銭を貸し付けた場合には、下記2の場合を除き、次のいずれかの利率により計算した利息相当額と実際に支払う利息額との差額が、給与課税されることになります。
(1)会社が他から借り入れて貸し付けた場合・・・その借入金の利率
(2)(1)以外の場合・・・貸付けを行った日の属する年に応じた利率(平成30年中の貸付は1.6%)
【具体例】
平成30年中に100万円を無利息で1年間貸付、利息相当額の計算に用いる利率は1.6%とした場合
利息相当額:100万円 ☓ 1.6% = 16,000円
無利息であるので、利息相当額の16,000円が給与課税されることになります。
2.給与課税とならない場合
次の(1)から(3)のいずれかの場合には、上記1に関わらず、給与課税しなくてもよいことになっています。
(1) 災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった役員又は使用人に、その資金に充てるため、合理的と認められる金額や返済期間で金銭を貸し付ける場合
(2) 会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、この利率によって役員又は使用人に対して金銭を貸し付ける場合
(3) (1)及び(2)以外の貸付金の場合で、上記1の利率により計算した利息相当額と実際に支払う利息額との差額が1年間で5,000円以下である場合
【具体例】
平成30年中に100万円を1.1%で1年間貸付、利息相当額の計算に用いる利率は1.6%とした場合
①利息相当額 100万円 ☓ 1.6% = 16,000円
②実際利息額 100万円 ☓ 1.1% = 11,000円
③差額 ① △ ② = 5,000円
差額が上記2(3)の5,000円以下に該当するため、給与課税をしなくてよいことになります。