今年の年末調整は平成最後の年末調整となります。今回は平成29年度税制改正の配偶者控除及び配偶者特別控除が適用される初年度です。改正項目を中心にご紹介していきます。
1.配偶者控除の改正〈増税〉
適用の範囲が縮小されました。
改正前 | 納税者の合計所得金額による制限なし |
改正後 | 納税者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には適用なし |
【ポイント】
合計所得金額が900万円を超える納税者については、所得金額に応じて段階的に配偶者控除額が減額されます。
控除額の詳細は『ConnectH29年11月号(Vol.64)』又は年末調整の際に配布される『給与所得者の配偶者控除等申告書の用紙』をご参照下さい。
2.配偶者特別控除の改正〈減税〉
適用の範囲が拡大されました。
改正前 | 配偶者の合計所得金額が38万円超から76万円未満 (給与収入のみで103万円超から141万円未満) |
改正後 | 配偶者の合計所得金額が38万円超から123万円以下 (給与収入のみで103万円超から201.6万円未満) |
【ポイント】
各控除額は納税者自身の合計所得金額と配偶者の合計所得金額に応じて細分化されています。
納税者の合計所得金額が900万円以下で、配偶者の合計所得金額が85万円以下である場合には、配偶者控除と同様に38万円の所得控除を受けることができます。
控除額の詳細は『ConnectH29年11月号(Vol.64)』又は年末調整の際に配布される『給与所得者の配偶者控除等申告書の用紙』をご参照下さい。
3.申告書の変更
平成30年分からは今までの2種類の様式から次の3種類に変更されています。
1)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
2)給与所得者の配偶者控除等申告書(新様式)
3)給与所得者の保険料控除申告書
【ポイント】
1)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
改正により従来の「控除対象配偶者」が「源泉控除対象配偶者」、「同一生計配偶者」、「控除対象配偶者」の三つに分かれることになりました。それぞれの対象は以下のとおりです。
『A源泉控除対象配偶者』の欄の記入については、①源泉控除対象配偶者の場合のみ配偶者名を記入します。それ以外の場合には、記入をしません。
①源泉控除対象配偶者 | 納税者の合計所得金額が900万円以下(給与収入のみで1,120万円以下)、で、生計を一にする配偶者の合計所得金額が85万円以下(給与収入のみで150万円以下) |
②同一生計配偶者 | 納税者の合計所得金額に制限なし。生計を一にする配偶者の合計所得額が38万円以下(給与収入のみで103万円以下) |
③控除対象配偶者 | 納税者の合計所得金額が1,000万円以下(給与収入のみので1,220万円以下)で、生計を一にする配偶者の合計所得金額が38万円以下(給与収入のみで103万円以下) |
2)給与所得者の配偶者控除等申告書
新しい様式です。改正による配偶者控除または配偶者特別控除額を計算する申告書です。
次の順序で控除額を計算していきます。
①納税者の所得による区分
所得金額に応じてA)900万円以下、B)900万円超から950万円以下、C)950万円超から1,000万円以下に区分します。
②配偶者の所得による区分
初めに70歳以上か、未満かで区分します。
次に所得金額に応じてA)38万円以下、B)38万円超から85万円以下、C)85万円超から123万円以下に区分します。
③控除額の計算
①と②の区分の組み合わせにより、控除額(10,000円から480,000万円の範囲)を計算します。
3)給与所得者の保険料控除申告書
いわゆるiDeCo(イデコ)の支払額を記載する『確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金』の欄が増えました。iDeCoの支払いがある方は証明書を添付して、金額を記載して下さい。
4.所得見直しによる再年調は可能
年末調整後に給与所得者本人またはその配偶者の合計所得金額に差額が生じた場合には、翌年1月末までの給与所得者の源泉徴収票を交付する時までに年末調整の再調整を行うことができます。
再年調ができるのは翌年1月末までです。期限を過ぎましたら確定申告により手続きをすることになりますので、ご注意下さい。