今月は記念品や奨励金の支給について、具体例を交えてご紹介します。
1.記念品等の支給
記念品等の支給にあたって大きなポイントとなるのは「現物に代えて金銭を支給する場合は、給与所
得として課税対象となる」ことであり、まずこちらを念頭に置いて考える必要があります。
(1)永年勤続者に対して記念品等を支給する場合
役員または従業員の永年勤続を表彰するにあたり、その記念として、例えば旅行・観劇等に招待した
り記念品を支給するといった場合について、次の要件のいずれにも該当する場合には、給与課税しなく
てよいとされています(所基通36-21)。
①記念品等を受けることによる利益の額が、その役員や従業員の勤務期間からして、社会通念上相当
と認められること。
*この社会通念上相当とは、具体的には以下の金額となります(下記の例では「旅行券」の場合)
・勤続年数満25年の者→10万円相当の旅行券
・勤続年数満35年の者→20万円相当の旅行券
②その表彰が、おおむね10年以上勤務した人を対象とし、かつ、2回以上表彰を受ける人については、
おおむね5年以上の間隔を置いて行われるものであること。
なお、商品券などのように換金が容易であるものについては、金銭を支給したことと同等と考えら
れ給与課税されることとなります。
(2)創業記念品等を支給する場合
会社にとって創業記念や社屋新築記念といった記念行事に伴い支給される記念品は、次の要件のいず
れにも該当する場合には、給与課税しなくてよいとされています(所基通36-22)。
①支給する記念品が社会通念上記念品として相応しいものであり、かつ、売ったとした場合の価額が
10,000円以下(税抜)のものであること。
②創業記念といった、一定期間ごとに到来する記念に際し支給する記念品については、おおむね5年
以上の期間ごとに支給するものであること
2.奨励金の支給
例えば、売上目標を達成した、優れた社内提案をしたことなどにより、その従業員を表彰し、奨励金
や商品券等を支給することもあると思いますが、このようなケースについては、金額や理由を問わず、
支給された社員の給与として給与課税することとなります。
ただし、その奨励金の対象となる業務が、通常の業務の範囲内に収まらないものであれば、給与所得
ではなく、一時所得や雑所得として取り扱われる場合もあります。