今回は、金融機関から融資を受ける際に差し入れる担保について、不動産担保を中心にその種類や評価方法、計算方法などをご紹介していきます。
- 担保とは?
金融機関は、融資したお金を確実に回収できるようにするため保全措置をとりますが、この債権(融資金)保全手段となるのが「担保」となります。
担保は通常、以下のように区分されます。
- 担保評価の目的とは?
担保評価の目的は、融資金が万一回収困難になったときに、その担保によって融資金を保全できて、損害を最小限にとどめるための「安全な価格」を算出することにあります。つまり、その時点における価値(時価)がそのまま担保評価額になる訳ではなく、時価に「掛目(安全率)」を乗じて担保価格を算出することになります。
【相続税評価額との違いついて】
→つまり、すぐに売れないのであれば、その分売値を安くせざるを得ない(=掛目)ことを指し、金融機関にとって確実に(堅い)回収が見込める価額の算出を目的としています。
【担保評価額】
時価×掛目(安全率)=担保評価額
★具体的に掛目はどの程度になるの?
金融機関によってバラつきはありますが、およそ下記のものが多いです。
更地・・・・・・・・・・・80%以内
自用の建物とその敷地・・・70%以内
貸家とその敷地・・・・・・60%以内
田畑・・・・・・・・・・・50%以内
一般的には、土地・建物等の時価に70%を乗じた価格以下であるときは、妥当なものと判断されています。ただし、一律にこのパーセンテージが適用される訳ではなく、例えば「敷地内に第三者通行権がある」「建物取壊しを予定しており、その撤去費用を考慮」のため、土地掛目50%、建物掛目0%とする、などの特殊要因を勘案して掛目が決定されることもあります。
- 担保評価の方法(時価の算出方法)
下記の方法があります。
★具体的に担保評価額を計算してみましょう!
1. 土地の評価(路線価方式で計算します)
(前提)*時価は、「路線価×評価面積」で求めます
・路線価:170千円/㎡ ・評価面積:1,500㎡ ・掛目:60%
(算式)
170千円×1,500㎡×60%=153,000千円 *時価は255,000千円となります
2. 建物(ビル)の評価(原価法により計算します)
(前提)*時価は、「再調達原価×現価率×評価面積」で求めます
・再調達原価:120千円/㎡ ・評価面積:5,000㎡ ・掛目:60%
・耐用年数:50年(鉄筋コンクリート造)、経過年数:5年→現価率:90%((50年-5年)/50年))
(算式)
120千円×90%×5,000㎡×60%=324,000千円 *時価は540,000千円となります
3. 賃貸用物件の評価(収益還元法により計算します)
(前提)*時価は、「年間純収益÷利回り」で求めます
・年間総収入:120,000千円、年間総費用:60,000千円、年間純収益:60,000千円
・利回り:6% ・掛目:60%
(算式)
60,000千円÷6%=1,000,000千円
1,000,000千円×60%=600,000千円
いかがでしたでしょうか?
実際の金融機関での実務上はさらに複雑な計算をしますが、原理としては上記のような計算をして担保評価額を算出します。
ポイントは金融機関ごとに「掛目」が織り込まれており、時価がそのまま担保評価額とはならない点です。
とはいえ、主観が働きやすい要素もあり、ご自身の直感が実は金融機関も同じことを思っていた、なんてことも意外に多かったりします。一度、金融機関の担当者に話を持ちかけてみてはいかがでしょうか。
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