上期は『交際費』を取り上げて来ましたが、今月からは『現物給与』について6回に分けて説明していきます。
『現物給与』は金銭で支給する給与とは別に、直接金銭で支給していなくても、所得税の課税対象に
なってしまうものをいいます。第1回目は、『従業員の食事代』の取り扱いについて取り上げます。
『従業員の食事代』
社員(役員及び使用人)に支給する食事は、次の2つの要件をどちらも満たしていれば、給与課税されません。
要件① 社員が食事の価額の半分以上を負担していること。
要件② 次の金額が1か月当たり3,500円(税抜)以下であること。
(食事の価額) ― (社員が負担した金額)
(例1)1か月当たりの食事の価額 5,000円、社員の負担した金額 2,000円の場合
要件① 5,000円÷2=2,500円>2,000円 1/2以上を負担していない。要件①を満たさず
∴5,000円-2,000円=3,000円が給与課税されます
(例2)1か月当たりの食事の価額 10,000円、社員の負担した金額 6,000円の場合
要件① 10,000円÷2=5,000円<6,000円 1/2以上を負担 要件①はOK!
要件② 10,000円-6,000円=4,000円>3,500円 負担3,500円超 要件②を満たさず
∴10,000円―6,000円=4,000円が給与課税されます
※食事の価額は、次の金額になります。
・仕出し弁当などを取り寄せて支給している場合には、業者に支払う金額
・社員食堂で会社が作った食事を支給している場合には、材料費や調味料など食事を作るために
直接かかった費用の合計額
【ポイントその1…現金での食事代補助はダメ!】
上記の様に弁当を現物で支給せず、現金で食事代の補助をする場合には、原則として、補助をする全額が
給与課税されてしまいます。但し、深夜勤務者に夜食の支給ができない為、1食当たり300円(税抜)以下
の金額を支給する場合は、給与課税されません。
【ポイントその2…残業食事代は無償でもOK!】
残業又は宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与課税しなくてもよいことになってます。