~小規模宅地等の特例について~(2018年4月号)

亡くなられた方が住んでいた土地や事業をしていた土地について、一定の要件を満たすことで、その土地(以下「宅地等」と言います)の相続財産の評価額を一定割合減額することができる「小規模宅地等の特例」という制度があります。

今回はこちらの制度について簡単にご紹介したいと思います。

  1. 適用の対象となる宅地等と減額割合について

 ①住んでいた土地 *特定居住用宅地等といいます

 ②事業をしていた土地(貸付用としていた土地は除きます) *特定事業用宅地等といいます

  →①、②ともに相続税の評価額の80%相当額が減額されます

 ③駐車場など貸付用としていた土地 *貸付事業用宅地等といいます

  →相続税の評価額の50%相当額が減額されます

 *このほかにも、一定の法人の事業(貸付事業を除く)をしていた土地についての、特定同族会社事業用宅地等があります

  1. 適用の対象となるための主な要件について

 まず、相続開始の直前において、亡くなられた方(以下「被相続人」と言います)又は被相続人と同じ 

財布で生活していた親族(以下「同一生計親族」と言います)の居住用(上記①の場合)事業用(②の場

合)若しくは貸付用(③の場合)として使っていた宅地等であることが大前提となります。 

 その上で、宅地の種類や取得者が誰であるかによって、条件が異なってきます(下記の表を参照)

 

宅地の種類取得者条件限度面積減額割合
①居住用同居または居住継続330㎡80%
同一生計親族所有している
配偶者条件なし
家なし親族所有している
②事業用親族事業継続400㎡80%
所有している
③貸付事業用親族事業継続200㎡50%
所有している
  1. こんなケースも小規模宅地等の特例の適用対象となります

・被相続人が亡くなられる直前まで老人ホームに入所されていた場合

 →上記①の居住用については、相続開始の直前において被相続人がその家に住んでいたことが要件とな

っていますが、イ)要介護認定を受けているロ)認可を受けている老人ホームに入所している、といっ

た要件を満たすことで、自宅に住んでいなかったとしてもこの特例の適用を受けることができます。

 *平成30年4月1日以後については、介護医療院に入所していた場合も適用の対象となります

 なお、この制度の適用を受けるためには、相続財産のトータルの財産評価額が非課税の枠内に収まり

結果的に相続税が発生しないこととなる場合も相続税の申告を行う必要がある点に注意が必要です。