会社で加入する社会保険を大きく分けると、一般的に「社会保険」と呼ばれる健康保険・厚生年金と
「労働保険」と呼ばれる雇用保険・労災保険に分けられます。
今回は、これらの社会保険の加入条件についてご説明します。
1.社会保険(健康保険・厚生年金)
社会保険は株式会社などの法人で常時使用される労働者であれば加入義務があります。(強制加入)
常時使用される労働者とは、社長などの役員を含め、労働の対価として継続して給料をもらう人をいいます。
つまり、一般的な役員や正社員の方は加入義務があるということです。
では、パートやアルバイトの方は加入義務がないのかというと、そうではありません。
アルバイト等の方でも1週間の労働時間と1月の労働日数が正社員(フルタイム)の3/4以上である場合には常時使用される労働者として、加入義務がありますので注意が必要です。
また、社会保険に加入している労働者が501人以上の会社で働く人については、1週間の労働時間と1月の労働日数が正社員(フルタイム)の3/4以上の条件を満たさない場合でも、下記の条件をすべて満たす場合には加入義務があります。
①1週間の労働時間が20時間以上であること ②収入が月額8.8万円(年収106万円)以上であること
③1年以上雇用される見込みであること ④学生ではないこと
なお、法人ではなく個人事業の場合には、常時5人以上の従業員を使用している事業所で常時使用される労働者であれば加入義務があります。(サービス業など一部の業種を除く)
2.雇用保険
雇用保険は、法人、個人事業を問わず従業員を1人でも雇用している会社または事業所で常時使用される従業員であれば加入義務があります。
アルバイト等の方でも、1週間の労働時間が20時間以上で31日以上継続して雇用される見込みがある場合には加入義務があります。
ただし、健康保険や厚生年金と違い、従業員のみを対象としているため役員(取締役・監査役等)は原則として加入することはできません。
3.労災保険
労災保険は、法人、個人事業を問わず従業員を1人でも雇用している会社または事業所であれば加入義務があります。
上記の社会保険や雇用保険とは違い、従業員が個人で加入するものではなく、会社(事業所)が加入し、その会社で働くすべての従業員が加入することになります。
労災保険も雇用保険と同じく、従業員のみを対象としているため役員は原則として加入することはできません。
4.まとめ
上記の表を見ると、社長1人で営業している法人の場合には、社会保険の加入はどのようになるでしょうか?
社会保険(健康保険・厚生年金)は加入義務がありますが、労働保険(雇用保険・労災保険)は加入できません。
従業員を雇っていないからすべての社会保険に加入しなくて良いというわけではないということですね。
今回は、一般的な社会保険・労働保険の加入条件についてご説明しましたが、社会保険の加入義務がない個人事業所でも任意加入ができたり、役員であっても労災保険の特別加入制度があるなど例外もありますので、心配な方は、ぜひ専門家にご相談ください。