★今月のトピックス!~給与と外注費の違い~
税務調査において、これまで外注費として処理していたものが、給与認
定されてしまうといったケースがあります。
もしこんなとき、税金計算等はどのように変わってくるのでしょうか?
今月はこの給与と外注費の違いについてご紹介していきます。
1.基本的な考え方
給与と外注費の違いは、基本的には報酬を受ける人が会社の指揮命令下で業務を行っているかどうかで
判定されることになります。
給与・・・報酬を受ける人が会社に従属(雇用契約)して、会社がリスクを負う業務に役務を提供する
ものです。
また、給与は「所得税の源泉徴収」を必ずしなければなりません。消費税についても課税の
対象とはなりません。(売上げに係る消費税から差し引くことができない)
外注費・・・報酬を受ける人が自己でリスクを負って、独立して事業を行っているものです。いわゆる
「請負」となります。
外注費は原則として源泉徴収の必要がなく、消費税は課税仕入れ(売上げに係る消費税か
ら差し引くことができる(つまり納税額が少なくなる))となります。
給与と外注費の相違点
給与 | 外注費 | |
契約形態 | 雇用契約 | 請負契約 |
源泉所得税 | 源泉徴収が必要 | 原則として、源泉徴収は不要 (外注内容により必要な場合もあります) |
消費税 | 仕入れ控除なし(本則課税) | 仕入れ控除あり(本則課税) |
社会保険 | 会社で負担 | 会社の負担は不要 |
2. 外注費が給与とされた場合どうなるのか?
会社で外注費として処理していたものが税務調査で給与認定されますと、外注費に係る消費税の仕入税
額控除が否認されることになります。尚、この否認される消費税相当額分だけ利益が少なくなり、所得金
額が減少します。(利益が出ている場合は、法人税額が少なくなります)
具体例で見ていきましょう。
(例)外注費として年間648万円を支払っていたが、税務調査で全額給与認定されてしまった場合
・消費税に係る追徴税額
648万円×8/108=48万円
*48万円は給与(費用)となり、その分だけ利益が少なくなります。
3. 税務上の考え方
では、給与と外注費について、税務上具体的にどのような基準で区分していくのでしょうか。
それは、仕事内容について以下の5つの観点から総合的に判定していきます。
(これら5つのうち、1つだけでも当てはまるから外注費になる、という訳ではありません)
①契約において、例えば外注先の判断で、さらにそのまた下請けにその仕事を依頼するようなことが可能
となっているか?(他人が代替して業務を遂行することが認められるか?)
YES→外注費、NO→給与
②仕事の遂行上、個々の作業について指揮監督を受けるか?
YES→給与 、NO→外注費
③期限内に仕事が終わらなくても(完成しなかった)、報酬を受けることが
できるか?(成果物を渡さなくても報酬を請求できるか?)
YES→給与、 NO→外注費
④外注先が自ら請負金額を計算し、請求書を発行しているか?
YES→外注費、NO→給与
⑤材料や作業用具が発注元から提供されているか?
YES→給与、 NO→外注費(自己負担)
なお、契約書でさも外注費になるようなことが記載されていたとしても、あくまで作業等の実態により
判定されますので、契約書さえしっかりしていれば・・という話にはなりません。
4. まとめ
2の具体例で示しましたように、仮に外注費が給与認定されてしまった場合、追加で納めなければ
ならない税金がダブルパンチとなってきてしまいます。
こうならないためにも、外注費についてはその作業等の実態に照らして慎重に区分を検討する必要
があります。ご不明点がありましたら、是非会計担当者までご相談ください。