電子マネーの会計処理

キャッシュレスを推進する世の中の流れも重なり、様々な種類が登場してすっかり身近な存在となった電子マネー。

ビジネスシーンにおいても多くの場所で利用されていることと思います。

そこで今回は、電子マネーの種類と電子マネーを利用した際の会計処理についてご紹介したいと思います。

すでにご存じの内容もあるかと思いますが、ご確認も兼ねてご一読いただければ幸いです。

 

 1.電子マネーの種類

  (1)プリペイド方式(前払い方式)

    ICカードやスマートフォンアプリに事前にチャージしたお金を使って決済する方法

  (2)デビット方式(即時払い方式)

    電子マネーと銀行口座を紐付けて利用する決済方法

    支払が完了した時点で指定の銀行口座から利用金額が即座に引き落とされます

  (3)ポストペイ方式(後払い方式)

    電子マネーをクレジットカードなどと紐付けて利用料金を後払いする決済方法

    この場合、クレジットカードの支払日に他のクレジットカード利用分と合算して引き落とされることになります。

 

  2.電子マネーを利用した場合の流れ

   (1)プリペイド方式(前払い方式)

     Suicaを例にご紹介します。

     まず初めに、Suicaにチャージした時点で「旅費交通費」などの勘定科目で経費算入する方法を度々目にするのです

     が、こちらは誤りです。

     確かに簡便な方法だとは思いますが、Suicaにチャージした段階では物品購入・役務提供を受けたとは言えません。

     会社でSuicaを保有されているのであれば、手許現金とは別勘定で区別する必要があります。

      ①Suicaに10,000円をチャージした時

       (借方)現金(Suica) 10,000 (貸方)手元現金  10,000

      ②Suicaを利用して乗車賃500円を支払った時

       (借方)旅費交通費  500   (貸方)現金(Suica) 500

     このように管理することで、手許現金だけでなくSuicaの残高チェックも可能となります。

     また、Suicaの利用履歴を出力しておくことでより確実なチェックが行えます。

     ※会社ではなく個人がSuicaを利用しているのであれば、Suicaやクレジットカードなどの支払手段に関わらず、立

      替経費として実費精算される方がよろしいと思います。

   (2)デビット方式(即時払い方式)

     支払が完了した時点で即座に銀行口座から利用金額が引き落とされるため、購入と決済が同時期に行われることに

     なります。

      ①50,000円の物品をデビット方式で購入した時

       (借方)消耗品費  50,000   (貸方)預金  50,000

     デビット方式の場合、口座にある残高以上に利用することは出来ないため、使い過ぎを防ぐことが出来るというメ

     リットもあります。

   (3)ポストペイ方式(後払い方式)

     クレジットカードなどと紐付けて利用料金を後払いするため、物品購入時には以下のように仕訳を作成します。

      ①50,000円の物品を購入した時

       (借方)消耗品費  50,000  (貸方)未払金  50,000

      ②クレジット代金が口座から引き落とされた時

       (借方)未払金   50,000  (貸方)預金   50,000

     ※クレジットカードの利用明細は領収証の代わりにはなりませんので、購入時の領収証は必ず保存していただく必

      要がございます。ご注意下さい。

 

すでに電子マネーを積極的に活用されている事業者だけでなく、これから電子マネーの導入を進めていこうと検討されている

事業者の皆様にとってもご参考になれば幸いです。