電子取引に係る電子データ保存の義務化が2年延期されました

先日、令和4年税制大綱が発表されました。

その中で、電子取引の取引情報に係るデータ保存義務化に対して2年間の宥恕措置が設けられる旨が示され、これを受けて令和

3年12月27日に宥恕措置に係る改正電帳法施行規則が公布されました。

「宥恕(ゆうじょ)」とは「大目にみて見逃すこと」を意味します。

つまり、2年間の猶予期間が与えられたという解釈で概ね正解です。

 

これを踏まえ、国税庁が公表しているQ&Aも更新されています。

まずはその内容から一部をご紹介します。

              ―――引用:国税庁 電子取引関係一問一答  問41-2 問41-3―――
問41-2 当面、電子取引の取引情報に係る電子データ保存への対応が間に合いませんが、どのような対応をすればいいでしょうか?
【回答】

 令和4年度税制改正で経過措置として整備された宥恕措置を踏まえ、令和5年12月31日までに行う電子取引については、保存すべき電子データを書面に出力して保存し、税務調査等の際に提示又は提出ができるようにしておいていただければ差し支えありません。

 なお、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報については要件に従った電子データの保存が必要ですので、そのために必要な準備をお願いします。

 

問41-3 電子データを授受した場合であっても、令和5年12月31日までの間は、やむを得ない事情があれば、出力することにより作成した書面による保存が認められるのでしょうか?
【回答】

 令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に電子取引を行う場合には、授受した電子データについて要件に従って保存をすることができないことについて、納税地等の所轄税務署長がやむを得ない事情があると認め、かつ、保存義務者が税務調査等の際に、税務職員からの求めに応じ、その電子データを整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面の提示又は提出をすることができる場合には、その保存要件にかかわらず電子データの保存が可能となり、また、その電子データの保存に代えてその電子データを出力することにより作成した書面による保存をすることも認められます。

 なお、上記の取扱いを受けるに当たり税務署への事前申請等の手続は必要ありません。

「やむを得ない事情」と記されていますが、例えば電子保存システムや社内のワークフロー整備が間に合わないなどといった

自己の責めに帰さないとは言い難いような事情も含め、電子保存の準備を整えることが困難であれば、“やむを得ない事情”と

認められるようです。

つまり、会社都合により準備が整わなかった場合でも認めますということですね。

 

2年間の宥恕措置が設けられたことでまずは一安心と言いたくなりますが、油断は禁物です。

令和6年1月1日からは宥恕措置期間が終わり、保存要件を満たす電子データ保存が義務となります。

この2年間を準備期間と捉え、万全の状態で令和6年を迎えることができるよう、社内のシステム整備等を進めていただくのが

望ましいと言えるでしょう。