間違いやすい事例集~第8回:年末調整~

実務上で間違いやすい事例シリーズ、第8回目となる今回のテーマは年末調整です。

出題は5題、全て〇✕問題です。

<問題>

第1問:[年末調整の対象]

12月給与の支給受け退職しました。1月支給の給与はありませんし、年内は他の会社で働く

予定もありません。会社を辞めたので年末調整の必要はありませんよね。

 

第2問:[扶養控除等申告書]

会社から、年末調整の扶養控除申告書を記載するよう言われました。私の勤務先はこちらの

1か所ですが、他の収入があり、毎年確定申告をしているので、扶養控除申告書は提出しなくてよいですよね。

 

第3問:[扶養控除等申告書]

私には、子供が2人(A子 17才、B男14才)おり扶養しています。2人の名前を扶養控除

申告書の控除対象扶養親族欄に記載しました。

 

第4問:[配偶者控除(配偶者特別控除)等申告書]

私の年間給与収入は600万円です。妻はパートの収入が年間140万円あるので、配偶者の控除はありませんよね。  

 

第5問:[扶養控除等申告書]

別居の母親を扶養していますが、扶養控除申告書に住所、名前など記載しましたが、証明書などは必要ないですよね。

 

<解答>

 第1問:

     会社を年内最終給与支払日(12月)以降に退職した方のうち、退職後年内に他の

     会社より給与の支払いを受けない方は、12月分の給与が今年最後の給与と見込ま

     れますので、今年の所得が確定したものとして、年末調整の対象となります。

     但し、12月中に新たな会社に就職が決定して12月に給与が支給される場合は、そ

     ちらが本年最後の給与になりますので、現会社では年末調整はできません。 

 

 第2問:

     ① 扶養控除申告書の主たる給与として申告した方は月額甲欄により源泉徴収を

       行います。扶養控除申告書の未提出者は、月額乙欄(甲より高い税率)により

       給与から源泉徴収を行います。

     ② 1年を通じて会社に勤務して、扶養控除申告書を提出し、月額甲欄により源泉

       徴収している方は、年末調整をしなければなりません。確定申告は、年末調

       整後の源泉徴収票によって行ってください。

 

 第3問:

     平成23年から年齢16 歳未満の扶養親族に対する扶養控除が廃止されました。B男

     さんについては、16歳未満の扶養親族欄に記入してください。

 

 第4問:

     配偶者の給与収入 140万円を基礎控除申告書兼 配偶者控除等申告書欄に記載し 

     てください。

     所得金額は、収入から給与所得控除額(550,000円)を差し引いた金額です。

     (給与収入金額)140万円-(給与所得控除額)55万円= 所得金額 85万円

     設問の場合は、「配偶者特別控除」が36万円受けられます。本年中の所得金額の

     見積額を忘れずに記入してください。

     なお、参考として配偶者の給与収入が103万円だった場合は、

     (給与収入金額)103万円-(給与所得控除額)55万円= 所得金額 38万円

     「配偶者控除」38万円が受けられます。

 

 第5問:

     別居している親族に対して生活費、療養費等の送金をし、本人と生計を一にしてい

     る必要があります。扶養の事実を確認するため、送金証明書が必要です。振込依頼

     書の写し等、送金の事実が確認できる書類(通帳のコピー等)を扶養控除申告書

     に添付してください。