外国人技能実習生の源泉所得税の取扱いは?~居住者判定~

技能実習生に支払う給与から差し引く源泉所得税は、その実習生が「居住者」か「非居住者」かによって以下のように取扱いが大きく変わってきます。

 ・「居住者」に該当する場合・・・源泉所得税額表等を参考に源泉徴収(通常の徴収方法)

 ・「非居住者」に該当する場合・・給与額に20.42%を乗じて源泉徴収

  一般的には、居住者として源泉徴収したほうが会社としての負担が少なくなるケースが多いです。

 では、この実習生の居住者判定はどのように行われるのでしょうか?

 これは、「継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有すること」と規定されており、こ

れを満たすかどうかにより判定されます。

 ではここで、具体的な事例を見ていきましょう。

<事例>

 当社では、次の外国人技能実習生を受け入れることとなりました。なお、この実習生は、技能実習1号(

1年目の技能実習)のみを予定しており、技能実習2号(2年目及び3年目の技能実習)へは移行せずに帰

国する予定です。

 ・入国予定日:X1年8月20日

 ・在留期間(満了日):X2年8月20日

 ・講習:X1年8月21日~X1年9月20日

 ・雇用契約:X1年9月21日~X2年8月20日

 ・在留資格:技能実習1号ロ

(取扱い)

 この実習生は一般的には非居住者に該当します。

 技能実習制度においては、入国後に所定の講習(入国後講習)を受講することが義務付けられているこ

とを踏まえますと、期間のなかにこの講習も含めて考えることが相当となります。

 そうしますと、この「1年以上居住すること」の要件は、実習生が、入国日(X1年8月20日)の翌日か

ら起算して1年を経過する日(X2年8月20日)を超えて国内に居住する場合(X2年8月21日以降も国内

に居住する場合)に満たすことになります。

 したがって、X2年8月20日までには出国(帰国)する本事例ではこの要件を満たさず、国内に住所を

有する者と推定されることはないため、国内に住所を有する事実が認められない限り一般的には非居住者

と判定されることになります。