建設業 自己資本比率が過去最高30%台~CIIC 経営分析17年度版を公表~

 建設業情報管理センター(CIIC、糸川昌志理事長)は、5万社を超える企業データを集計した「建設業の経営分析(17年度)」をまとめました。

 経営の健全性を示す自己資本比率は前年度を2・55ポイント上回る30・56%となり、6年連続で数値が上昇しました。各社が将来の備えとして内部留保を進めた効果が出た形となったようです。
 なお、分析を開始した1988年度以降、過去最高の数値となりました。
 
1. 総資本経常利益率
 4・73%(前年度比+0・50ポイント)
 →売上高階層別では、5000万円未満は前年度までマイナスの数値で推移していましたが、17年度はプラスに転じました。収益性の改善が小規模事業者にも広がっていると見られます。
  地域別では、東北を除く8ブロックで前年度を上回りました。

2. 自己資本比率
 30・56%(前年度比+2・55ポイント)
 →売上高階層別では、2億円以上の階層がいずれも40%を超えており、1億円以上は37・29%、5000万円以上が24・90%となりました。なお、5000万円未満の階層はマイナス5・40%と債務超過になっています。

 CIICは自己資本比率が売上高階層別だけでなく、業種別で分析しても上昇傾向にあることを踏まえ、利益確保に向けた健全経営がさまざまな階層・分類で進んでいると見ています。
 技術職員1人当たりの完成工事高は前年度から横ばいの4088万4000円。売上高20億円以上の階層が唯一1億円超となっており、付加価値の高い工事が受注できていることが結果として表れているようです。
 

 今回の調査企業は5万0742社。法人組織で兼業比率が2割未満の専業業者が対象となり、資本金5億円以上または負債総額200億円以上の会社は除外しています。建設業の大部分を占める中小企業の経営実態を知る上で有効な資料となります。
 CIICは分析結果の冊子(3000部)を国土交通省や都道府県、建設業団体などに配布するほか、ホームページhttp://www.ciic.or.jp/でも公表しています。