~名義株と実際の権利者の判定~(2017年8月号)

名義株とは,株式の株主名簿上の名義と,実際の権利者が異なる株式のことです。相続税調査などの

場面では,名義上は相続人名義の株式であっても,実際の運用等を行っていたのが被相続人であるとして,名義株と指摘されるようなケースがあります。最近でも,保有していた株式が名義株に当たるとして相続財産の申告漏れを指摘された報道がありました。

例えば,被相続人の妻名義の株式については,名義上は妻の株式ですが,それだけでは名義株でないことを証明することができません。そこで,出資払込の証明となる書類の保存,配当金を受領している事実等の記録,議決権の行使等,実際に株式を管理・運用し,その権利を行使しているのが妻であることを示すことが出来れば,運用上も相続人である妻が株式を実際に所有していることを証明できます。

一方で,株式の取得費用の支払者や,配当金の受領者,領収書の署名が被相続人であるなど,実際の管理・運用等が被相続人によるものであると判断されれば,名義株として,相続財産に加算すべきと指摘される恐れがあります。

名義株と指摘されないためには,取得時や保有時,配当時など,それぞれの場面で,株式の実際の所有者が相続人であると証明できるかがポイントとなります。